人の恋を笑うな
ある朝、島田君がため息をついていた


『おはよう、どうしたの?ため息なんてついて』


『おはようございます、乙女さん。実は誠也さんと奥さん離婚したんですよ…で住んでた家追い出されたんだけど、今うちに居候してるんです…』


『せっかく東京きたのになんで離婚?』


『浮気ですよ…奥さん気性の激しい人だから絶対許せないってそく離婚届けにはんこ押したみたい。多分もうすぐ大阪帰ると思うから、その間置いてくれって…』


『じゃあ置いてあげたらいいじゃない』


『仕事ではノリノリの人だけど…マンション帰ると子供さんの写真見ながら泣いてお酒飲むんです…住んでる俺もたまりませんよ』


『あちゃ〜子供いるのか。なのに浮気はいかんな…』


『この前奥さん説得しにいったんですけど、あんな男もういい!慰謝料もどうでもいいって話し合いにもならないから』


『住所、教えて奥さんの…少し話し聞いてくるわ。女同士なら何か仲直りの糸口みつかるかも』


『忙しいのにすみません。あ、乙女さん。これ結婚祝いです』と島田君は細長い包みを渡してくれた


『開けていい?』


『どうぞ』


箱をあけると、そこには花柄の夫婦箸が入っていた。箸にはそれぞれ名前が彫られている


『ありがとうございます!大事に使うから』


『お店探すの苦労しました。古い商店街で不意に見つけて…』


『センスいいのね』


『ありがとうございます』


私はプレゼントをバックにいれると、掃除をはじめた。今日は社長の部屋も掃除する日である


ほうきとバケツと雑巾を持って社長室に入った


そこにはあの松坂ルイがたっていた


『ルイさん、おはようございます!今日は撮影ですか?』


『ええ、グラビアのほうね。武人はまだなの?』


『社長は今日お昼からの出勤になります』


『そうなんだぁ…相談あったのに…』


『じゃあまた午後にくるから武人に連絡しといてくれる?』


『了解です』


そういったものの、私の心は穏やかじゃない
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