人の恋を笑うな
土曜日、お母さんと夏子を駅まで迎えに行った


『またまたお早いおつきで…』


『やだお姉ちゃんジャージ姿で…』


『いいのよ、これで』


『こんなんで来月結婚式なんてできるのかしら』とお母さんが嘆いた


『まあまあ二人とも、今日のお昼は私の手料理ご馳走しますから』


二人は寒気がすると言った…



『ここが新しい家?すごいじゃない!』

『お洒落な家ね』

と二人はびっくりだ


『私、今月末に社長のマンションに引っ越すことにしたの。でね、そのあと住むのが茂徳達』


『そうね、6月入ったら式の打ち合わせで忙しくなるから、そのほうが安心だわ。夏子、手伝いにきてあげなさい』


『ええーめんどくさい…』


『いいじゃない…今度あんたが引越しするときも手伝うから』


『それがね…隼人さんがうちの家にすんで、そこから通勤するっていいだして…説得したんだけどね、お母さん』


『そうなのよ。会社で寝泊まりもあるけど、電車や車でって』


『養子になるの?』


『それはないわよ。マスオさんになる覚悟ですって』


『どうしてまた…』


『私にピアノ教室やめさせたくないから…』


『あんた愛されてんのね。逆によかったかもね』


お昼まえ、私は手料理の支度を始めた


『お姉ちゃん、料理教室でもいってるの?』


『茂徳の彼女さんに教えてもらってるのよ』


『あ〜レストランで働いてる?』


『そう、今は辞めたけどね』


『あらもったいない』


『赤ちゃんできたのよ。初産だし、危ないからってお医者さんに言われて今のんびりしてるわ』


『お前くらいの歳かい?』


『ううん、38。高齢出産になるでしょ?結婚式は9月に決まったらしい』


『今年は結婚ラッシュね〜』と夏子は笑った


『はーい、出来上がり。アボガドのサラダとキノコと高菜のパスタ』


『あんたやるじゃない』


『お姉ちゃん、美味しい!こりゃ世界破滅だ』


なんとでもいいな…私は成長したんだからね
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