人の恋を笑うな
結局私の一番の薬は夏子と武人さんの涙だった


夏子達が帰った後も私を抱きしめる社長…


『このまま乙女に笑顔が戻らなかったらどうしようと思ってた…痩せていくし、辛かったよ』


『ごめんね。ごめん』


抱きしめられて安心感が戻った。嘘みたいに不安は消える


赤ちゃんがなんとなく私に話し掛けてくれたようなきがした


〜ママ、ダイジョウブ〜


そうだよね、大丈夫だよね


私はその日久しぶりにぐっすりと眠った




『乙女さん、順調よ。みてください。赤ちゃんわかるようになりましたよ』


ホントだ…人間の形、私と社長の赤ちゃんが笑ってる


『血液検査の結果もよかったし、これからは少し動いて体力つけましょう』


よかった!危機乗り越えられた。途端に私は浮かれる


12月の風は頬に冷たいが、心は暖かかった


検診の帰り、少し会社によってみた


そっと事務所を開けると、私が座ってたデスクにショートカットの小柄な女の子が座ってパソコンを打っていた


『ああ!また間違えてしまいましたぁ!また打ち直しです!』とかなり苦労しているようだ


私はそっと後ろで様子を見ていた


『あのね、カタカナにするときはF7のキー押すといいんです』と私は囁いた


『ああああ…ありがとうございますぅ』


目の大きな可愛い子だった


『あの、社長いますか?』


『はい!いらっしゃりしゃります。いえ、いらっしゃいます』


『ありがとう。頑張ってくださいね』


私はお腹を抱えて2階にあがった


久しぶりにノックした


『はい…』相変わらずのぶっきらぼうな声


『武人さん』


『どうした、検診いってきたのか?』


『うん、もう大丈夫だって。少し運動してもいいくらいだって…これ見て』と写真を渡した


『すごいな…なんか笑ってるみたいだ。可愛い』


『この中にいるんだよ。不思議よね』


社長の手をお腹に当てた
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