人の恋を笑うな
社長の部屋が終わって事務所に戻った


『ここも二人でしちゃいましょうか』


『奥様、大丈夫なんですかぁ!何かあったら大変ですぅ…!』


『今はね、動く時期らしいの。だから毎日掃除やら買い物は歩いて行ってるわよ』


私は水回りのほうから掃除しだした


葵ちゃんはまた窓や壁を掃除している


『去年は一人で大掃除してたのよ。時間かかった』と私は笑った


『奥様は優秀だって島田さん言ってました。経理もきちんとやるし、ライターもやってる、雑誌の編集のセンスもあるって…私うらやましくて…』


『必死でやればなんでも出来るわよ。葵ちゃんは好きな人とか彼氏いないの?』


『あ…あの…一応います…』


『あら、彼氏?』


『いましたですね…友達にとられちゃいました…でもまだ好きというか…』


『きっとまたいい人できる。私なんか結婚決まってた人にフラれたんだから。でも今は幸せな私いるでしょ?』


『社長は…家でも怖いですか?』


『あはは、怒ると怖いわよ。私がここにいた時もどれだけ怖かったか』と私は笑った


『でもね、結構ギャップがあってそこが一番好きになった部分かな。結婚しても恋してる気分。笑うでしょ?もう妊婦なのに』


『そんな事ないです!理想です、そんな結婚は。女の子なら誰でも』


『早く新しい恋をして女磨かなきゃ。島田さんなんてどう?怖いけど気がつくし、優しいし、イケメンだし…』


『面接の時は、この会社イケメンパラダイスだと思って舞い上がりました…でもフタを開ければです』


やっぱり…可哀相に


『葵ちゃんならここでやっていけるわよ。頑張りなさい』


掃除が終わった頃、島田君が事務所にきた


『あれ?ここもやっちゃったんですか?これお弁当とお茶です。ほら、とろちゅー!』


『はいぃ!あれ…二つありますよ』


『お前の分だよ。乙女さんと一緒に食べろ。から揚げ弁当好きだろ?乙女さんはすき焼き弁当でしたよね?』


『覚えててくれたんだ。ありがとう。いただきます』


『じゃあゆっくり食べててください』


『ほらね、気がきくでしょ?』


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