人の恋を笑うな
『今日は掃除、助かったよ。葵がお礼いっといてって』


『二人でしたらあっという間よ。でも武人さんも今年はお疲れ様でした』


『ありがとう。無事仕事納めができた』


私はスーツをハンガーにかけてワイシャツを洗濯機に入れた


『今日の鍋なんだ?』


『モツ鍋よ。ホルモン新鮮だったから』


『乙女はホルモンヌだからな』と社長は笑った


美味しそうにビールを飲んでいる


『野菜もたくさんだからね』


『実家は30日に帰るか、31日は余計に混みそうだから』


『そうね、ゆっくり帰ろうか。みんな楽しみにしてる。家族揃うの結婚式以来だから』


『そうだな、あっちではゆっくりさせてもらうか』


『今実家は増築中だからどんなになってるかも楽しみ』


『隼人達は明日から大阪らしい。新幹線のチケットは早くにかってたみたいだし』


『今度私達も叔母さんの家に顔だししないとね』


『ホントだな…去年の今頃は一人鍋してたよ…結構淋しい年末送ってた』


『そうなの?私は武人さんなら豪華なパーティーに行ってると思ってた』


『まさか、結構地味なのもうわかっただろ?』


『ええ』私は小鉢に具をよそって、社長に渡した

『私は実家でグータラしながらビール飲んでた』


『で鍋だろ?』


『そうそう。で島田君事件あったり、引きこもり事件あったり…今年はいろんな事があったな…でも、まさか結婚して妊娠するとは、予想外の出来事だった』


『俺にはいい年だったよ。すごくいい年』


『来年はそうそうに夏子達の披露宴もあるし、忙しい幕開けになりそうね』


『出産もあるし、ハワイに報告もあるし…』


早く社長のお義父さんにも会いたかった。もうハワイに溶け込んだ人なんだろうな…
< 164 / 180 >

この作品をシェア

pagetop