人の恋を笑うな

『お母さん、すき焼き奮発したじゃない！こんなの初めてよ』


『あんたのためじゃないよ。武人さんと孫のためだ。ほら、もっと食べなさい』


『はいはい。でも安定してきてよかった。今は運動してもいいくらいで、毎日マタニティ体操なんてやってるくらい』


『どんな事するんだい？』


『ヨガみたいな感じかな…今の産婦人科ってなんでもとりいれるからね…臨月前はもうお母さん教室になるんだって！』


『ばあちゃんがはやく抱っこできるように、元気な子産んでおくれ』


『了解。ねえ…今回伊勢海老ないの？』


『毎回あると思ったら大間違いよ…でもこの前近所の人に蟹もらってね、北海道の毛蟹。これ用意してるから』


『すっごい！楽しみ〜』


３１日には３人でお節を詰めた


『夏子も大阪でしてんのかな』


『姑さんと張り合ってるかもね』お母さんは笑ってる


『去年はいろいろあったわよね。島田君がおにぎりもってうち泊まったり』


『ホントだ笑えてきちゃうねー』


『まあ彼は彼なりにしてくれたんだけどね』


『結局のとこ、武人さんにおさまったわけだ』


私は腰が痛くなって椅子に座った


『友達の奥さんは双子がお腹に入っててね、すごいのよ。で出産日がお正月なんだって』


『まあ多少ずれるけど、正月に産まれたら大変だわね』


『おやおや…次郎寝ちゃったよ』とおばあちゃんが毛布をかけに行った


『武人さん、お風呂入ってくださいな』


『いいんですか？』


『廊下右だから。着替え持っていくわね』


『さすがのお父さんも武人さんには敵わないわね』とお母さんは嬉しそうにしてる


『お父さんね、ああやって娘の婿と飲むのが夢だったのよ。とくにあんたのお婿さんとね…嬉しくてしかたないの』

そうなんだ…男親って。社長もそうなるのかな