人の恋を笑うな
『お義母さん、少し休んできてください。タクシーでマンションまで帰ってくれたらいいです』と社長はお母さんに鍵を渡した


『じゃあそうするね。交代でまたくるから』


そう言ってお母さんはマンションに帰っていった


『しかしデカイな』と社長は笑う


『4000グラムだもん…武人さんに似てるわ綺麗な顔立ち』


『そうか?目元は乙女と一緒だぞ。手足長いのは俺に似てる』


『少しづつ変わっていくんだろね、顔が…楽しみ』と私は笑った


翌日夏子や家族がやってきた


『大きな赤ちゃん入ってたんだ…可愛い。なっちゃんって呼ばせよう』


『兄貴に似てるなあ、ほんまに似てるわ』


『ばあちゃん、ちょっと抱いていいかい?』とおばあちゃんが、赤ちゃんを抱っこした


おばあちゃんはしっかりした手つきだ


『ひ孫抱けるなんて幸せだ…この子の運動会みれるまで長生きするよ』


お父さんは『初孫が男の子とみていた!だからこいのぼり、もう用意してるんだよ』


なんて気の早い!買ってもうちのマンションでは無理!


『お兄さん、名前は決めているの?』


『一応決めてたんだ。女なら、瑠璃。男なら、翔太…』


『じゃあこの子は翔太ね』と私はぎこちなく抱いた


『親父にも連絡しといた。お宮参りの写真また送ってやらなきゃ』


陣痛の時、夏子の悪口言ったのは内緒である…


妊娠、出産が無事終わり、私はマンションに帰ってきた


部屋にはベビーベットが用意されていた


『武人さんが買ったの?』


『いや、お義父さんだよ』


『よかったね、翔太。おじいちゃんが買ってきてくれたんだって…』私は翔太をベットに寝かせた

『ホントにご苦労様』と社長は抱きしめてくれた


久しぶりに社長の匂いをかいで、安心した
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