人の恋を笑うな
木村要…かつて同棲してた元カレである


まあ同棲といっても三ヶ月ほどなのだが


彼女がいないか確かめて、私は彼と昔よく行ったカフェに呼び出した


『音沙汰無しだったお前が急にどうしたんだ?』


『まあ…ちょっといろいろ相談あってさ』


『なんだなんだ?俺の身体恋しくなったか』と要がからかった


『要は私の身体恋しくなったことある?』と私は真剣な眼差しで聞いてみた


『別れたあとはね。しばらく恋しかったな。男って意外に未練がましいからな』


『私今AV会社の事務所にいるのよ』


『ええ!まさかアダルト嬢?』


『違うわよ。経理よ、あと雑用とか…でね、今スポーツ新聞のピンク面に小さな記事書いてるの。まあ…このAVオススメだとかさ。でもイマイチ社長に気に入ってもらえなくてさ。やっぱり男の目線もいるのかな?』


私のこの素っ頓狂な悩みに、要はおおいに爆笑した


『よりでも戻してくれって言うのかと思ったら』


『元カレでこんな事相談できるのは、要しかいないじゃない。茂徳にはそんな会社行ってるのさえ内緒なんだからね』


『ああ、あの男友達か。そりゃいえねーよな。俺に言えるのは、一緒に暮らしてたからだぜ、多分』


『だろうね…』


あの頃は毎日が楽しくて、ままごとみたいな生活だった
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