人の恋を笑うな
桃井先生に3日分の薬と、解熱剤をもらった


社長はすやすやと眠っている。私は合間をみては、氷枕の氷を交換した


私は帰るに帰れず、結局社長の部屋に朝までいた

時々社長が漏らす寝言が私の心に突き刺さった


『ねね…頑張れよ…』
『ねね…ごめんな』


やっぱりまだ完全にふっ切れてはいないのだ


20年以上の思いを吹き消す事なんて、だれもが無理な事であって…パーフェクトな社長でも無理なのだ


私は一人泣きながら社長のソファーで小さくなっていた



どのくらい時間がたったのだろう…私を呼ぶ声がする


『乙女、帰らなかったのか?』


『帰れる状態じゃありませんでしたから。あ、これ薬です。あのなんか食べますか?』


『冷凍庫にリゾットあるから温めて』


冷凍庫から手作りらしきリゾットがでてきた


『あ、これ社長が?』


『ああ…そのくらい作れるからいつも保存してる』


私はレンジで温めて社長にだした


『食後に飲んでください。熱計って解熱剤…』


『もう帰るのか?』


『私することないですから…』もう寝言なんて聞きたくない


『もっと居てくれないか?』


『私はねねさんじゃありませんから』


『そんなのわかってるよ』


『だって、ねねさんの寝言ばかり言ってました』


『そうなんだ…で、妬いてくれたわけ?』


私は顔が熱くなった


『ごめん…怒るな。ムカつくオッサンでも今日は居てくれよ』と私は社長に後ろから抱かれた


リアクションできない


これはズルイ通り越してるよ…ねえ社長?
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