人の恋を笑うな
社長は私にオムライスを作ってくれた。その手際のよさたるや、そこらへんのシェフに負けない程


『美味しいですぅ〜社長、料理もできるんですね』


『独身生活長いのもあるし、ホスト時代に身につけたんだ』とお水を出してくれた


よかった…結婚してなくて


『社長も…寝言たくさん言ってましたよ。ねねさんの』


『ほんとか、まだ未練あるのかな…本音のほうは』


『頑張れよとか、ごめんなとか…』


『なに頑張れよなんだろな。ねねにしたら余計なお世話だ』と社長は笑った


何〜この開き直り…すっかり拍子抜け


『でも今日は薬飲んで寝ててくださいよ』とはぐはぐオムライスを食べながら社長を睨んだ


『じゃあ夜は乙女に作ってもらおうかな…』


『私のなんか食べたらお腹痛くなりますよ!』


『お前さ、時々弁当持ってきてるだろ?あれ作ってくれよ。お弁当箱あるから…』


と社長は古いお弁当箱を取り出してきた


『玉子焼きとウィンナーとご飯。これに詰めて』


『本気ですか?』


『昔中学の時、親父が毎日3年間作った弁当。玉子焼きとウィンナーだったんだよ。お前の弁当みたとき懐かしかったな…』


『そんなんでよければ…いつでも』


『楽しみにしとくよ。おっと薬飲まなきゃな』


お母さん亡くなったからお父さんがお弁当作ってたんだ…大変だったろうな…


お?そうなると私の弁当はまんま親父の味って事になるのかい?


なんか情けない…(泣)
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