青
『よし!』
開店準備をしながら、
商品のチェックをする。
ここスピカは、
雑貨屋といっても
女の子専用の
可愛らしい店ではなく、
民芸品や、
アンティーク家具が中心で、
男でも欲しくなる凝った物が多い。
一番の特徴は、
看板がない事だ。
以前、
憲二さんに聞いた事がある。
なぜ看板がないのか…
ただでさえ、
入り組んだ場所にあり
外観も雑貨屋には見えない。
アンティーク家具ゆえに、
少し値段も高い。
だから暇なんじゃないか?と…
その時の、
憲二さんの言葉は
今でも心に残っている。
「買ってくれるのが、
誰でもイイわけじゃない…
ただでさえ、
入るのを迷うこの店に
勇気を出して
入ってくれた人…。
少し高くても気に入って、
何度も足を運んで、
悩んで、悩んで…
それでも、
どーしても欲しくて
買っちゃう人だけ…
来ればイイ。」
憲二さんが言うには、
この店は、
趣味+安らぎの場所で、
利益は、他の事業で儲けているからどうでもイイそうだ。
憲二さんが、
旅行兼買い付けに行き
気に入った物だけを
買ってくるから…
売れてしまうのも、
少し寂しい!と言っていた。
それを聞いた時、
ますます憲二さんという
人間が好きになった。