青
スピカとオレンジ
(カラン カラン〜)
『いらっしゃ…
なんだ憲二さんかぁ』
「悪かったね俺で…
どうだ調子は?」
『憲二さんが気に入ってた椅子、売れたよ』
「マジ!?チクショー…」
『チクショーって‥
でも、買ってくれたのは
年配のおじいちゃんで
すごく嬉しそうだった』
「じゃあいいや!休憩!」
『まだ…
開店したばかりっス…』
「なーに拗ねてんだ?
お兄ちゃんに言いなさい」
『お兄ちゃんって…
うーん…
すごく楽しかったのに、
急に帰らなきゃって…
また会えるか聞いたけど、
首を振るだけで…。
逃げる様に帰って行ったんだ…
その子…。』
「えっ?!…
まさかオマエから
女の話しが聞けるとは‥
さては…
そのめずらしい飲み物も
訳アリ?」
『一緒に飲んだら
美味しかったから…
なんとなく‥』
「それで?どんな子?」
『んー、二つ上だけど、
可愛くて、綺麗で、
優しくて、楽しくて…
でも…
なんだか悲しそうで…』
「完璧に惚れてるな…
何してる子?」
『翻訳って言ってた』
「えっ?その子の名前…」
(カラン カラン〜)
『あっ、お客さんだ!
憲二さん、
あぶら売ってないで!
行った、行った!』