『……』


「美雨、全部言いなさい」


『…でも、駄目なの…

また会えるか聞いてくれた彼に返事もしないで逃げちゃったから…。

今は忘れようとしてる』


「…忘れられる?」


『難しいね…。

忘れようとしてるのに、
あの日の事思い出して
つい、オレンジジュース飲んじゃうし』


「このめずらしい飲み物は訳アリ?」


『一緒に飲んだらスゴク美味しかったから…』 


「そっか…。」


それから由美ちゃんは、
話題を変えて
たくさん笑わせてくれた。

別れ際には、
人目も気にしない
盛大なハグ付きで…。


その時の由美ちゃんの顔は
スゴク優しい顔だった。


少しだけ、

泣きそうになりながら

由美ちゃんから貰った優し
い体温に包まれながら家路
についた………







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