「その時、後ろの方で物音がしたんだ。

ふり向くと、西川くんがナイフを持って立ってた…


隠れていたんだろう…
彼はもう普通の精神状態じゃなかった…

通報を受けた警官が事務所に入ってきた時、彼はナイフを振り回して美雨に近寄ってきたんだ。


美雨に向かってナイフを振りかざした時…



美雨が…言ったんだよ。



<殺していいよ…>って




そしたら彼は急にガタガタ震えだして、なんてことをしたんだって…


あとから思うと…
あの一瞬だけ、彼は本当の自分に戻れたのかも知れない…

純粋に美雨が好きだった頃の自分に…



そして彼は…

<美雨ごめんね>って

微笑みながら自分の胸を刺して…



自殺した…



目の前で、彼の死を見た美雨は…

叫びながら意識を失った…」










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