しばらく、園内を歩いたところで彼からの提案があった。


『ベンチで休憩しよう。
ターボと待ってて?
飲み物買ってくる。』


そう言い残し、
彼は自販機の方へ走って行った。



私はベンチに腰掛け、

いつのまにか

時間も、風も、

元に戻っている事に気づいた。




ここは本当に静かな公園だ

木が生い茂り

十分な広さはあるが、

遊具がない為、子供には物足りないのだろう…



同じ様に散歩をしている
老夫婦がちらほら見える…


いわば穴場的な感じだ。



ターボくんは、
すでに足元で落ち着く場所を見つけてムニャムニャと寝る体勢を決め込んでいる。



こんなに

穏やかな気分は久しぶりかもしれない。




離れた所から彼が歩いてくる




「不思議な人…」 




どうして彼が話したり…



笑ったりするだけで…



こんなにも、

心が震えるのだろう





その理由に気づくのが恐い




もう何年も前に



自分と一緒に壊れたはずの


感情に…









< 5 / 202 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop