『お題』ください。短編小説の種になります
テレビの画面の中を、紫龍がからだをうねらせて飛んでいるのだ。

ああ『憂い』はこの世界に、日本にいたのだ。

それも、他の龍たちとちがい、自分の中身を放出するのではなく、蔓延する『憂い』を喰らって、元より元気で、つやつやと肥えて成長していた。

悪いことはしていない。

普通の人間には見えないし、害もない。

自分自身の体を構成している『憂い』を、放出しているわけでもないのだから。 

カナはしばらく、楽しそうに飛ぶ、その龍の姿を見ていた。

それから、つぶやいた。

「あのこ、そっとしといたほうがいいんでは・・・」




end


今の日本を・・・という部分も使わせていただきました。



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