新しい歌
「責められるべきは常に俺だ。言い訳はしないが、こればっかりは」
「風間さん、それはそれとして、なっちゃんに会う事は別に厭じゃないんでしょ?」
「会って今更何を話す?」
「今すぐよりを戻しなさいとは言わないけれど、葉月の時も私思ったのよ。どうしてもっと肩の力を抜けないのかなって」
「そういえば、はーちゃんとも最近は会ってないんだって?」
「うん」
「一度、葉月に相談でもしてみたら?」
「妙な話だな、前の女房に今の女房の事で相談するというのも」
「でも、風間さんにとって、葉月は今でも友人の一人ではある訳でしょ。風間さんを身近に知っていた彼女なら、自分自身が気付かない事を知っているかも知れないじゃない」
「ありがたいご忠告だが、やめとくよ。別段、那津子に会いたくないという訳でもないから、近々行ってみるさ」
「そうして上げたら、やつも喜ぶよ。そうだ、あいつ今は久里浜の障がい者施設で働いているの知ってた?」
「いや」
初耳だった。私はてっきり、昔やっていたボイストレーナーを又やっているのだとばかり思っていた。
「なっちゃんはそこで何しているの?」
私の代わりに深海魚の女房が聞いてくれた。