新しい歌

「浅倉、一日使えるスタジオ、手配出来るか？」

「任せてフーさん。実を言うとね、もう押さえちゃった」

「えらい気の早い奴だな」

「まあ、押さえたと言っても、キャンセルになったとこに捩じ込んだだけですけどね」

「いつだ？」

「明日、じゃないや、日付が変わったから、今日っすね」

「今日！？」

　浅倉以外の全員が口を揃えて言い、呆れた顔をした。

「何時からだ？」

「十時」

「夜ではないよな？」

「未成年の玲ちゃんを久里浜から呼ぶんですよ。朝に決まってんじゃないっすか」

「なら、俺は一眠りする為に帰るぞ」

「フーさん、ちょっと待って下さいよ。話の続きがあるんだから」

「俺も寝過ごすと悪いから、退散するよ」

「シンさんまでそんなあ」

「どうせ、この後の話は今すぐじゃなくても構わないんだろ？俺達ロートルは、睡眠が大切なんだ」

「うちも、そろそろカンバンだ」

「マスターまで、もう。じゃあ、一言だけ、マスターもスタジオに顔出して下さいね。場所は、毎度お馴染み檜町のスタジオですから。みなさんが揃ったら、話します」

　結局、何だかんだ言って、浅倉のペースで事は動き出していた。