「大キライ」の恋。
---(やば、口開けて寝てたかなぁ・・・。)


「っていうかさぁ、何?その顔?」
原口豪がアタシの顔の湿布を見て
聞いてきた。


「あ、こ、これ・・・あのさ・・・。」
「おたふく風邪だべ?」
「へっ・・・?」


ちょっ!
ちょっと、何いきなり言うかと
思ったら「おたふく風邪」って(笑)


アタシは思わず吹き出してしまった。


「あーーーっ!おかしい!(笑)」
「中畑、何笑ってんだよ。」
「ちょっと、おたふくはなくない?」
「いや、頬が丸くふくれてるし。」
「それは元々だっつーの!」
「あ、そうだった。」


アタシは、朝の事件の事を
原口豪に話した。


原口豪は大声を出して笑った。
「何だよ、そんな事有り得んの?
マジウケるんだけど(笑)
漫画かよ?中畑!」
「ホントだよ、ホントにホント。」
「どんくさくない?お前。」
「・・・ほっといてよ!」


また原口豪の屈託の無い笑顔を
見れた。
何か、くすぐったい気分だ。


「間もなく、終点、終点・・・」
電車が終点の駅に着いた。


電車を降りて2人で改札の方に
歩いていたら、原口豪が、


「・・・中畑、大丈夫かよ、顔?」
「え・・・?」
「痛いの我慢してんなよ、な?」
「・・・ん、ありがとぉ。」


急に優しい言葉を掛けてくれた。
アタシは嬉しいのと照れくさいのと
入り混じった気持ちになった。


「ってか、原口がそんな優しい
言葉掛けてくれるなんて、
何か不思議なんだけど(笑)」
「は?俺、結構優しいんだぜ。」
「はいはい、分かってますよ。」
「か~っ、可愛くないなぁ!」
「すいませんね、こんな性格で。」


憎まれ口を叩きあって、
アタシたちは駅の改札を出た。








< 12 / 19 >

この作品をシェア

pagetop