「大キライ」の恋。
「塔子っ!!ちょっと声デカイ・・・。」


アタシは慌てて塔子を制した。
でも塔子は止まらない。


「杏奈!原口君と何があったのさ?
教えてよ☆」
「だ~か~らぁ~・・・」


「偶然電車の中で逢ったんだよ、
ただそれだけ。何でもねぇから。」


アタシと塔子の会話を、周囲の
クラスメイトが
見つめる中をかいくぐって、
原口豪が言った。


「なぁ、中畑。ただそれだけだよな。」
「あ・・・、うん。」
「ったく、西島は大袈裟なんだって。」
「ちぇェ~っ!LOVEな感じぢゃなかったか。」
「あったり前だろ、こんな湿布貼った女。」


そう言って、原口豪はその場から逃げた。


「な、何よ、そこまで
言わなくても・・・。」
「何だ、で、その怪我何よ?」


塔子はアタシに問いかけてきた。
アタシは、必死になって朝の出来事を
説明し始めた。


でも・・・
でも・・・


何故か【原口豪】にいきなり
冷たくされたのが
悲しくなって、途中で
話すのを止めた。


「・・・杏里?やだ、ちょっと・・・」
「ごめん、急に痛くなって・・・」


アタシ、何でこんなに
【原口豪】に翻弄されてるんだろ・・・?


自分の感情が良く分からないけど・・・。
でも何故か涙が頬を伝ったんだ。






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