「大キライ」の恋。
「俺・・・朝から歯が痛くて。
朝から何も食えないんだよ。」


「へっ・・・???」


歯が痛い??
そう言えばさっきから右側の頬を
頬づえついて上下にさすってる・・・。


「・・・マジで?」
「・・・マジで。」


やっば~!!!
早とちりで、勝手に誤解してたよ。
完璧、悪口まで心の中で言ってたし!!


「ゴメン!!アタシ、原口豪の事
完璧誤解しちゃってた!!
何でキャンディー受け取らないんだよ、
もぉ絶対キャンディーあげないって。」


何だかわかんないけど、
さっきまでのイライラは
どっかに行っちゃって、
アタシはただ原口豪に平謝りしてた。


----ぷぷっ。


原口豪が吹き出し笑いをした。
アタシが初めて原口豪の「笑顔」を
見た瞬間だった。


さっきまで見せてたふてくされた顔とは
一変して、笑うとえくぼが出て、
目も無くなっちゃう。
まさに「くしゃくしゃ」っていう
表現がぴったりの笑顔だった。


「あ、イテテ・・・」
原口豪の笑顔は、虫歯痛によって
すぐにさえぎられた。


「・・・虫歯治れば
キャンディーあげるからね。」
「・・・おう。」
「歯医者行かないとダメだよ。」
「・・・面倒くせぇなぁ。」
「子供か?行きなよね、ちゃんと。」
「おう。」


初めてまともな話を出来たと思った。
ただ機嫌が悪かっただけなんだ、
そう思ったら、笑えて来た。


それと同時に、
アタシは、何だかドギマギしてた。
まさに原口豪の「ギャップ」に
戸惑っていたのだった。


< 5 / 19 >

この作品をシェア

pagetop