ルシファーゼの伝言
吹きさらしのプラットフォームに、電車が滑りこんでくる。
僕は鞄を抱えて、3両目の茶色いシートに座った。ちょうど向かい側に、隣のクラスの上坂さんがいた。栗色の髪に、膝丈のスカート。上坂さんは僕が片思いしている女の子だ。上坂さんは必死になってケータイを操作している。僕は上坂さんに手を振ってみた。気がつかなかった。
「上坂さん」
僕は、笑顔で名前を呼んだ。上坂さんは、こっちをちらっと見て、会釈した。
「えっと、隣のクラスの人だよね?」
ちょっと小首を傾げながら、上坂さんは言った。
「そうだよ。C組の南陽平」
「同じ電車かー。もしかして南君って上条地域?」
僕は頷いた。
「実家は上条だから、電車で通っているんだ」
電車が揺れた。アナウンスが流れる。
「えー。ただいま、線路内で事故が発生しました。電車は急停止します。手すりなどにつかまって、衝撃に備えてください」
二回ほど、間延びしたアナウンスは繰り返された。
僕は鞄を抱えて、3両目の茶色いシートに座った。ちょうど向かい側に、隣のクラスの上坂さんがいた。栗色の髪に、膝丈のスカート。上坂さんは僕が片思いしている女の子だ。上坂さんは必死になってケータイを操作している。僕は上坂さんに手を振ってみた。気がつかなかった。
「上坂さん」
僕は、笑顔で名前を呼んだ。上坂さんは、こっちをちらっと見て、会釈した。
「えっと、隣のクラスの人だよね?」
ちょっと小首を傾げながら、上坂さんは言った。
「そうだよ。C組の南陽平」
「同じ電車かー。もしかして南君って上条地域?」
僕は頷いた。
「実家は上条だから、電車で通っているんだ」
電車が揺れた。アナウンスが流れる。
「えー。ただいま、線路内で事故が発生しました。電車は急停止します。手すりなどにつかまって、衝撃に備えてください」
二回ほど、間延びしたアナウンスは繰り返された。