ルシファーゼの伝言
電車は激しく揺れながら、しかし次第にそのスピードを落としていった。ゆるゆるとスピードを落とす電車。電車の揺れもしだいに収まっていった。

結局、電車が止まったのは郊外の大型電気量販店の前だった。僕は上坂さんの手を握って、もうすぐ救急車が来るから大丈夫だからねと励ました。

上坂さんの目はぼんやりしていて、意識が遠のいていっているようだった。

あたりを見渡すと、怪我をしている人ばかりだった。足から血を流してる人、泣き叫ぶ人。まるで、戦場にいるような悲惨な光景だった。

電車が止まり、僕は窓際にあった非常用ドアの開閉装置のボタンを押した。すぐにドアが開いた。僕は上坂さんの体を支えて、ゆっくりと電車の外に出た。上坂さんを地面に仰向けに寝かせる。

そして、まだ車内に取り残されている人の救助に向かった。半数くらいの人が、怪我をしてるようだった。僕はサラリーマン風の巨体の男性と、一緒に怪我人を運び出した。そのとき、全員が助かりたいと思ったし、僕もそう願った。

３両目の人々が全て車内に出たとき、救急車が到着した。

僕は上坂さんのそばに駆け寄った。


僕は心配になって何度も、何度も強く上坂さんの名前を呼び、手を握った。
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