年下の君に愛されて、、、【長編】
『負けたの?』
『勝った。勝つに決まってんだろ』
私をキッと睨みつけてそう答えた。
『な~に気取ってんのよ』
薬を塗った傷に、
次はばんそうこうを張っていく。
悟は喧嘩が多くて
(これも徹くんと違うとこ)
傷だらけで帰ってくることが多いらしい。
そのたびに私がよく
手当てするんだけどね。
きっかけは徹くんに
“喧嘩してくる悟の手当てしてくれないかな?”
そう言われたのが始まりなんだよね。
断れないでしょ?
気に入ってもらいたいもん。
笑顔で引き受けたっての。
『ふん。もお終わっただろ…帰る』
置いてある鞄を乱暴に持ち立ち上がる。
あ…
下から見ると徹くんにかすかに似てるかも。
なんてふと思う。
靴を適当に履き
玄関を出ようとする悟は、
急にぴたっと止まった。