年下の君に愛されて、、、【長編】







少し目をそらして、
又拳をにぎりしめる悟を見る。

びっくりして頭が整理できてない私は
ただ見てることしかできなかった。


一瞬だけ、沈黙が流れて、
時計の“チクタク”
っていう針の音が部屋に響く。





この静かさは嫌い。





この針の音は嫌い。




小さな頃を思い出すから。


小さい頃、
私はよくこの音を聞いていた。
親が共働きで帰ってくる時間が遅くて、
一人でいることが多かった。


その度によく泣いていて、
寂しくて、


早く帰って来てくれるのを
時計を見ながら待ってた。


だから私の頭の中の嫌な記憶に
この音が鮮明に残ってる。



私を見ずにうつむいたままの悟に
なにかしゃべらないとと思うけど、
なんて声をかけたらいいのかわからなかった。




“はぁー…”




深い悟のため息が、
やけに大きく耳に聞こえる。
そのため息にビクッと反応する私の体。





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