年下の君に愛されて、、、【長編】
『ねぇ~帰らないの?』
鞄を片手に持ち、
不思議そうに私を覗きこむ亜優花。
慌てて私も鞄を持ち、
亜優花と一緒に教室をでた。
帰り道、
亜優花が一方的に話をしてて、
私はただ聞いてただけだった。
考えてたのは悟のこと。
私を好きだと言った
あの時の悟の切ない目。
悲しい目が頭に焼き付いて
離れない。
どんな想いで悟は私に
好きだと言ったの…?
『優衣…。何かあったんでしょ?』
へ…?
駅前で亜優花が
立ち止まったことに気づかなくて、
先を歩いてた私はその言葉に振り返った。
『言えるようになったら教えてね?頼りにならないけど…』
私を見て、
せつなそうにニコッと笑った。
っ……。
その言葉に
溜まっていた涙が少し流れて、
“うん”
と頷いた。
私のことを考えて、
気づかってくれる亜優花に
知らない間にそんなこと
思わせてたんだと、初めて分かった。