愛想人〜アイオモイビト・先生〜
コイビト関係
別れを告げて数週間。
もう夏の時期だ。
「磨菜ー!」
朝一から元気よくあたしの名前を呼ぶ緋依。
それを軽くかわしながらっていうのがココ最近の日課。
「磨菜」
後ろから落ち着いた声があたしを呼んだ。
「聖羅…」
磨菜って呼ぶのは三人しかいないからスグに分かる。
いや…正しくは二人かな。
遥都先生は二人っきりのとき限定で磨菜って呼んでたしね…。
って!!
未練がましいな、自分…。
「一年生、雛瑞磨菜さん。 理科準備室に来て下さい」
放課後、いきなりの呼び出し。
ってちょっと待て。
今、理科準備室って聞こえた気がしたんだが…あたしの聞き間違えか?
隣にいた緋依と聖羅を見る。
あたしの言いたいことが伝わったのか二人は声を揃えて
「聞き間違えじゃない。 理科準備室って言ってた」
と言った。
マジですか。
ぇ、いまさらなんの用?
疑問符が頭の中にたくさん浮かんでくるが…全然分からない。
今、あたしは理科準備室の前にいる。
足が勝手に動いたってことにしといて…。