愛想人〜アイオモイビト・先生〜
好きだから言うべき?
それとも言わないべき?
「磨菜…」
いつものようにあたしの大好きな声で名前を呼んでくれる遥都。
優しい笑顔を見てそれだけで充分かな?なんて前までは思えていたのに…
いつからあたしはこんなにも独占欲が強くなったんだろう?
この笑顔を独り占めしたい。
この声を誰にも聞かせたくない。
こんな感情が頭の中をグルグルと回る。
「オレはこれからも磨菜だけが好き」
狡(ずる)いよ…。
あたしが言ってほしい言葉をサラっと言っちゃうんだから…。
だからあたしの気持ちもちゃんと言葉にするね?
「あたしも…。 あたしもこれからも遥都だけが好き」
そう言ってとびきり甘いキスをした。
あたしからのキスなんて滅多にないからめちゃくちゃ驚いてる。
「遥都…」
マヌケな顔をしている遥都に甘い声で呼びかけた。
遥都が我に返るまでの数秒間、沈黙に包まれた。
「…磨菜ッ」
呼びかけたのはあたしなのに何故かギュッと抱きしめられている。
そしてお互いに
「離れない」
って呟いた…。