鼓動より速く
まただ。
最近、ガラクタの奴、壊れるんが早い。
本当に軽く走っただけだ。
朝のトレーニング程度だ。だけど、ガラクタは。

トクン。トクン。トクン。トクン。トクン。

「ミノル君、大丈夫!?やっぱり、マズかったのかなぁーー?」

ヤバイ、意識が・・・・。
呼吸が乱れ、瞼が閉じて行く。
クソっ。
また、ボクは・・・・。
















「・・・」

気付けば・・・・またここに居る。
保健室。
ボクにお似合いだ。

「・・・ん?」

ベットの横に、泣き腫らした顔をして、眠っているハルカが居た。
ボクの事なんて、ほっておけば良いのに。
何が理由か分からないけど、やっと、学校に来たのに。
ごめん。
ごめんナ。ハルカ。ボクが弱いから。
普通の人みたいに、走れなくて。
ハルカと一緒に、学校に行けなくて。

ボクは泣いていた。
自分への怒りかもしれない。
ハルカに心配を掛けた情けなさかもしれない。
心臓病という運命にかもしれない。

ボクは泣いていた。全ての人間に対して、劣っている自分に。

「どうしたの?ミノル君」

涙を流したのと同時に、ハルカは起きた。
涙に敏感なのか、ハルカまで涙目になっている。

「・・なんでも、何でもないよ」
「ミノル君、泣いてるよ?」
「いや、ここが痛いんだよ」

ガラクタに軽く触れた。
小さな音で小さく鼓動している。まだ生きているという証拠。

まだ生きれるという証拠。

「それよりハルカ?授業は良いの?」
「だって〜詩を書いてたら、怒られたもん!だからここに逃げて来ただよ」
「詩を書いてたの?」
「そうだよ!お父さんが提案してくれたの!家で書いてるより、学校で書いた方が良い詩が浮かぶって・・・けど、勉強しないと駄目みたいだよぉ」

口を尖らせて、ふて腐れている。ボクは思わず、吹き出してしまった。

「なんで笑うの?」
「ごめん、ごめん、おじさんとハルカのやり取りを想像したら面白いかったんだよ」
「えーー。面白くないよーん。詐欺だよー、ペテンだよー」
また笑ってしまう。

良いなぁハルカ。
本当に羨ましい。生きる事に純粋でボクは全然、違う。
何故、こうも違うんだろう。
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