すれ違い続けて
†汰衣夢†



「はああああっ?!お前ばかじゃねぇの?!」
「落ち着けよ…俺だって嫌なんだって」

夏休み。毎日のように俺んちにやってくる拓と、いつものようにタバコを吸っていた時だった。

「なあ汰衣夢…。頼みがあんだけど…」
「ん?」

拓は言いにくそうに座り直す。

「言えよ。聞ける頼みなら聞く」

タバコを灰皿に押し付けながら、話すように促す。

「きのう、先輩に言われたんだけどさ…。明日の花火大会、先輩達行くらしいんだよ。んで、一緒に行かねぇかって」
「行くのはいいけど…美九ちゃんどうすんだよ?」
「なんとか断る。んで、その花火大会のメンツ、女の子いるんだ」
「は?」
「花火大会とか言って、合コンも入ってんだよ」

ありえねぇ…。
「それに俺もついて行けってか?つか、お前彼女いんのに…」
「木村先輩の頼みなんだよ!本当は俺も行きたくねぇんだ…。頼むよ…」

木村先輩か…。先輩には、中学んときからずいぶん世話になってきた。先輩に頼まれたら…行くしか…
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