second〜切ない恋の物語〜
話を切り出したのは野上さんだった。


「神野、コンパ行くの?」

「え?何で知ってるんですか?」

焦る私。

「さっきボーリング行く前に、鈴木から聞いた。」


あの時、私が気になってた二人の会話は、

コンパの話だったんだ。


「日曜、シフト変えたんだって?」

「はい、店長に許可もらったんで。」


野上さんを見る。

タバコを吸いながら、眉間にシワが寄っている。

怒ってる?気がした。



「野上さん?」

「…」

返事がない。

何で機嫌悪いの?

野上さんは何も言わない。


「さっき、原田さんがコンパで男を落とす方法とか教えてくれたんですよ。」

「…」

やっぱり返事がない。

「なんか怒ってます?」

「別に。疲れただけ。」

「そっか〜。」


それから会話はなかった。

何を話していいのか分からないから。

野上さんの一歩後を歩く。

なんだか野上さんが、遠く感じた。
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