センチメンタル☆サクリファイス
あたしは、その夜、ストーカー君に、ひとこと言ってやった。


「あんたが、あたしを好きなのは、あんたの勝手だよ!

でも、あたしには、あたしの生活がある。

あたしに付きまとうのは、百歩譲って許すとしても、

あんたと先輩は、何も関係無い。

先輩を殴るなんて、酷い!

もう、あんたなんて、嫌い!」


一言どころか、5分にわたって、日ごろの恨みつらみを、ぶつけてやった。



「だけど!

あいつは悪い奴なんだ!」


と、ストーカー君。


「先輩は悪くない!」


「やよいちゃんは、騙されてる!」


「そんなことない!」


「だって、あいつ、浮気してるんだよ!?

やよいちゃんという彼女がいながら、こっそり会って、いちゃいちゃしてるんだよ!」


こっそり会っていちゃいちゃしているのは、あたしの方だ……。


「あたしは、騙されてなんて、いない……」




そう。

あたしは、騙されてなんか、いない。


悔し涙。

ぽたぽたと、トレンチコートの裾に、こぼれ落ちた。
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