センチメンタル☆サクリファイス
「僕、今、幸せです」


「そんな高熱出して、幸せ?」


「やよいちゃんが家に入れてくれて、僕に優しくしてくれるのが嬉しい……」


「もう二度と部屋には入れないからね」


「ありがとう」


「へ?」


「やよいちゃん、ありがとう」


「あ……。うん」


「あんた、高校生?」


「中学生です。中学4年生」


「中学って、4年生なんてある?」


「いじめにあって、2年間登校拒否だったんです」


「そうなんだ」


「やよいちゃんに会うまで、僕、ずっと1人で淋しくて……」


「そっか」


まだ15歳の、その小柄な少年が、急に愛おしく思えて、あたしは、彼のあたまをそっと撫でた。


「あたしのこと、好きになってくれて、ありがとね」


少年は、しばらくの間、無言で、あたしに撫でられていた。
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