センチメンタル☆サクリファイス
猪苗代先輩は、あたしを送ってくれない。

帰りが遅いと、彼女に怪しまれるから。

だって。


毎晩、必ず、電話するんだって。

ふうん。


あたしにも、先輩が、毎晩電話をしてくれたら、どんなに良いんだろう。

って、思う。


でも、あたしにかかってくる電話と言えば……


♪ミファソ・ソラソミレド・ファドファラドラドレ・・・・・・(乾杯 BY長渕剛)


「はい。もしもし」

『……』

「もしもし、誰?」

『……』

「……」

『……ハア、ハア』

「……」

『……ヒヒヒ』

「……」

『……フ……フハハハ……ハアハア』


つーつーつー……


こんなのばっかりだ。

いつもの無言電話。

今日は、『ヒヒヒ』って、ちょっと喋っている、というか、笑っていたから、まだマシなほうか。


うんざりしちゃう。


無言電話、

なぜか、猪苗代先輩とデートした日は、回数が多い。

しかも、いやに、呼吸が荒い。


きもいったら、ありゃしない。

何を想像してしているんだか。
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