マカロン
「ユイが先に行って、俺、コワいから。」

「オバケは今日はスタンバイしてないよ。しかたないな。」

私とコウタは完成したお化け屋敷のコースに入って行った。

黒く塗った段ボールや暗幕でしきった通路は明かりをつけていても薄暗い。

「明日、いっぱいくるかな?きてほしいな、けっこうがんばったし、高田くんなんか、オバケ役燃えてるし、コウタくんはオバケはやらないんでしょ、やればいいのに、あ、足元注意だよ・・あ、こんにゃくとかつるしてぺたーんてやるんだよね、古典的じゃない・・・」

コウタとふたりっきりのこの状況に緊張して、私はついついおしゃべりになった。

学園祭の準備で二人の距離はかなり近づいて、

私が話しかければ、自然に答えてくれる、そんな関係にはなっていたんだけど・・・
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