青いリスト
拓也の場合
携帯のカレンダーを拓也は開いた。自分の休日を確認するためだ。休日の日には絵文字を付けていた。後三日か…拓也は深いため息をついた。始発を待ちながら栄養ドリンクを飲みタバコをふかしている。ホーム内は禁煙なので拓也はオドオドしながら震える手で空になった瓶にトンと灰を落とした。静寂に包まれたホームに炭酸の弾ける音がした。電車の到着は5時45分だ。それはいつもと変わらぬ拓也が半年の間続けている事だ。拓也は自分の人生に終止符を打とうとしていた。それは一年前に決断した事だ。彼は人から忘れさられる日をずっと現在に至るまで待っていた。人が覚えている間は死ねない。
拓也はその意思だけで露命を繋いでいた…
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