青いリスト
揺れる車内で拓也はもう一度携帯を開いた。 この一年の間、携帯のアドレス帳が少しずつ減っていき、残りは視覚で確認出来るぐらいの数になった。 住所が変わった事も、仕事が決まった事も誰にも連絡する必要はない。拓也はそういう煩わしさを日々廃除してきた。 不安定な路に差し掛かり揺れが激しくなった。 左右に揺れる頭で拓也はボンヤリと、アドレス帳を見ながら、また一つ無駄なものを廃除しようかと考えていた。
そうして少しずつ終末への準備をしていた。
真っ白になって行く携帯を見ながら、自分の死の瞬間を自分で操れる恍惚感に浸りながら拓也の心は終始穏やかだった。
そうして少しずつ終末への準備をしていた。
真っ白になって行く携帯を見ながら、自分の死の瞬間を自分で操れる恍惚感に浸りながら拓也の心は終始穏やかだった。