先生…ごめん、愛してる。【完】
「食べてないな?」
看護師が黙って頷いていた。
「母さんからプリン預かって来た。行こう。」
棗は、言って車椅子を押す。
羚音は、正当防衛が認められ無罪だった。しかし…羚音には、全ての記憶がなかった。
棗も2週間病院に通ってようやく覚えてもらったのだ。
医師によるとあまりのショックな事があるとなってしまう【解離性健忘症】になっていると診断を受けた。
その為今だに退院を許さない。
羚音は、“何も”覚えていない。無防備になっていた。
棗は、妹を守っていた。