先生…ごめん、愛してる。【完】
「……私の…記憶……?」
羚音は、言って周りを見る。棗の姿は、なかった。
「受理して下さい。」
城は、言って父の机に“退職届け”を提出した。
「おい…なんだコレは?」
もちろん父は、息子を睨む。
「教師を辞めます。」
「なんだって?」
「城っ!!」
父と兄の声音が変わる。
「許して下さい。 俺の為に自分を犠牲にしてくれた彼女を…そのままには、出来ません。」
城は、初めて自分の意見を父に話した。 父の表情が曇る。
「何を言ってる?」