ブルー・フィールド
 
 その後、いつもの様な会話をちょろちょろっとしたところで、時計が9時になったのに気付く。

「そろそろ帰りますか」

 明日も大会二日目がある。

 俺はリレーだけだが、寺尾は個人種目もあるし、ゆっくり休まないと。

「僕も個人種目あるよ?」

「安心しろ。誰も村山には結果を求めていないから」

「そう……だよね……」

 おや? 優しさを見せたのに、何故沈み込む?

「それ優しさじゃないよ!」

 そうか? 村山は扱いが難しい年頃なんだな。


 3人は電車、俺は自転車でそれぞれ帰路に着く。

 朝からの雨も止み、暗くなったいつもの帰り道を、一日を振り返りながら進む。

 朝からたった15時間しか経過していないのに、やたら長い時間を過ごした気がするのは、それだけ濃密な一日だったんだろう。

 と、家に着いたとほぼ同時にメールがきた。

 差出人は寺尾だ。

『今日はなんかいろいろごめんね
 また明日モーニングコールしてあげりゅ……あ、噛んじゃった(笑)』

 ……メールで噛んじゃったって……可愛いじゃねーか!

 いくつかメールを繰り返し、肉体と精神を癒す為に早目に眠る事にした。
 
< 100 / 301 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop