ブルー・フィールド
その後、いつもの様な会話をちょろちょろっとしたところで、時計が9時になったのに気付く。
「そろそろ帰りますか」
明日も大会二日目がある。
俺はリレーだけだが、寺尾は個人種目もあるし、ゆっくり休まないと。
「僕も個人種目あるよ?」
「安心しろ。誰も村山には結果を求めていないから」
「そう……だよね……」
おや? 優しさを見せたのに、何故沈み込む?
「それ優しさじゃないよ!」
そうか? 村山は扱いが難しい年頃なんだな。
3人は電車、俺は自転車でそれぞれ帰路に着く。
朝からの雨も止み、暗くなったいつもの帰り道を、一日を振り返りながら進む。
朝からたった15時間しか経過していないのに、やたら長い時間を過ごした気がするのは、それだけ濃密な一日だったんだろう。
と、家に着いたとほぼ同時にメールがきた。
差出人は寺尾だ。
『今日はなんかいろいろごめんね
また明日モーニングコールしてあげりゅ……あ、噛んじゃった(笑)』
……メールで噛んじゃったって……可愛いじゃねーか!
いくつかメールを繰り返し、肉体と精神を癒す為に早目に眠る事にした。