ブルー・フィールド
「それで? 2人でどこか行くの?」
弁当を平らげた後、午後に入ったから紅茶、を手にあーちゃんが聞いてくる。
「というか、それはここで話しをすべき事か?」
デートならば、俺と寺尾だけで話すものだが。
「けど、どうせなら、皆で行った方が楽しいね」
どうやら寺尾の中では、2人でデート、から、皆で遊ぶに変わってるらしい。
昨日のあーちゃんの話のとおり、手ごわい存在だ。
「あーちゃんはどこ行きたいの?」
語尾に♪マークを付けながら言う寺尾に、俺もあーちゃんも深いため息を付くが、当然ため息の理由など寺尾は気付かない。
ついでに村山も。
「ちょっと! なんで僕はついでなの? っていうか、分かってるよ、これでも!」
これでもって事は、鈍いのは気づいてるんだな。そこは褒めておこう。
「それはそれとして。寺尾の中では誰がメンバーに入ってるんだ?」
実際の話、ここから2人でデートに持ち込むのは、かなりの恋愛テクニックが必要な気がするし。
「んーと、浅野君と村山君と私とあーちゃん?」
「そこに村山を入れるのはセンスが無いかな」
「なんで? それってセンスの問題なの?」
村山が何か言っているが、話しを進めたいから華麗にスルーしておこう。
「まあこの4人なら進行もスムーズだろうし、いいんだろうが」
「進行って何の事?」
そこは大人の都合って事で理解してもらうか。
「浅野君には何か計画はあるの?」
「それなんだが、実際の話、試験やら大会やらがあるから、近場で映画とかくらいしか無理かと思っているんだが」
来週には期末試験、その後には大会のバーゲンセールが始まる。
レジャーの夏とは言え、水泳部には大会の夏、夏休みまでは練習が休みになる日がない。
「そういえばそうね。さすがに試験前は遊べないし。特に浅野君が」
あーちゃん? 一言余分ですよ?
「あ! じゃあさ、皆で勉強会しようよ!」
寺尾が妙案を考えついたかの如く提案するが。
「由美? それは自分も勉強できないからでしょ?」
あーちゃんにはバレバレの様です。