ブルー・フィールド
 
「それで? 2人でどこか行くの?」

 弁当を平らげた後、午後に入ったから紅茶、を手にあーちゃんが聞いてくる。

「というか、それはここで話しをすべき事か?」

 デートならば、俺と寺尾だけで話すものだが。

「けど、どうせなら、皆で行った方が楽しいね」

 どうやら寺尾の中では、2人でデート、から、皆で遊ぶに変わってるらしい。

 昨日のあーちゃんの話のとおり、手ごわい存在だ。

「あーちゃんはどこ行きたいの?」

 語尾に♪マークを付けながら言う寺尾に、俺もあーちゃんも深いため息を付くが、当然ため息の理由など寺尾は気付かない。

 ついでに村山も。

「ちょっと! なんで僕はついでなの? っていうか、分かってるよ、これでも!」

 これでもって事は、鈍いのは気づいてるんだな。そこは褒めておこう。

「それはそれとして。寺尾の中では誰がメンバーに入ってるんだ?」

 実際の話、ここから2人でデートに持ち込むのは、かなりの恋愛テクニックが必要な気がするし。

「んーと、浅野君と村山君と私とあーちゃん?」

「そこに村山を入れるのはセンスが無いかな」

「なんで? それってセンスの問題なの?」

 村山が何か言っているが、話しを進めたいから華麗にスルーしておこう。

「まあこの4人なら進行もスムーズだろうし、いいんだろうが」

「進行って何の事?」

 そこは大人の都合って事で理解してもらうか。

「浅野君には何か計画はあるの?」

「それなんだが、実際の話、試験やら大会やらがあるから、近場で映画とかくらいしか無理かと思っているんだが」

 来週には期末試験、その後には大会のバーゲンセールが始まる。

 レジャーの夏とは言え、水泳部には大会の夏、夏休みまでは練習が休みになる日がない。

「そういえばそうね。さすがに試験前は遊べないし。特に浅野君が」

 あーちゃん? 一言余分ですよ?

「あ! じゃあさ、皆で勉強会しようよ!」

 寺尾が妙案を考えついたかの如く提案するが。

「由美? それは自分も勉強できないからでしょ?」

 あーちゃんにはバレバレの様です。
 
< 128 / 301 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop