ブルー・フィールド
「浅野君は数Ⅰと理科の担当でいいよね?」
この4人の中で、理系は俺だけだから、普通にそうなるな。
「村山君は現国と社会、大丈夫だったわよね?」
「うん、任せて」
珍しく村山が頼られている。
「英語は私が得意だから、大丈夫」
ほう、あーちゃんの得意分野は英語ですか。
もっとも、一番得意なのは井戸端会議なんだろうけど。
「ね、私は?」
「由美? 由美は……お茶当番?」
「ひっどーい! そりゃ得意科目は家庭科だけど……」
そう言えば寺尾の勉強振りは知らないな。
別に俺が授業中は寝てばかりだから、とかのツッコミは無用。
「寺尾は文系・理系どっちなんだ?」
「えーと、好きなのは、地理とか?」
ほう、これまた社会科の中でも限定してますね。
「何言ってんのよ。地理って言っても、観光地の名前を知ってるくらいでしょ」
ハハハ……こりゃどんな勉強会になるのやら。
というわけでページの都合だろう、土曜日になった。
土曜の練習は昼前に2時間、2時間の昼休憩を挟んで午後に2時間。
強豪校なら一日で6時間は軽くこなすんだろうがそこはそれ。
4時になりいつものように練習を終え、帰宅準備をし始めた。
「浅野達は試験勉強するんだって?」
着替えの途中、兄北田が話しかけてきた。
「そうですね。村山の家に集合です」
「ほう。ってことは差し入れいるか?」
お? なかなか気が利くじゃないですか。
「瀬戸んちの酒でも持って行くか?」
「無茶言わないでください! 酒飲んだら勉強どころじゃなくなりますから!」
「浅野君、そこは否定する内容違うよ」
村山に言われて気付いたが、そういえばそうか。
「売り物の酒を差し入れにしちゃいけませんよ」
こうだな。
「いや、だから、高校生がお酒の差し入れってのがおかしいって話なんだけど……」
「先日、二日酔いで学校きた奴に言われたくないが?」
「それは……」
まあ二日酔いになろうとなるまいと、一緒に飲んでたのは間違いないけど。