ブルー・フィールド
 
 というわけで村山の部屋に入ったんだが。

「なんで高校生の部屋に40型液晶テレビやらブルーレイレコーダーやらがあるんだ?」

 俺の部屋には14型ブラウン管テレビと、ビデオデッキしかないんだが。

「お兄ちゃんの友達の彼女のお父さんが、大手電機メーカーに勤めているから、安く売ってもらえるんだ」

 なんだよ、その友達の友達は皆タモリさん的な友達の輪は。

「はい、早く勉強するよ」

 今日のあーちゃんは気合が入ってる。

「今日は文系から始めましょ。現国と社会、あと英語ね」

「三教科も? 無理じゃね?」

「何言ってんのよ。今日と明日しかないのよ。明日は数Ⅰと理科に時間割かないといけないんだし」

「そうだよ。浅野君は理系得意だからいいけど、私達は文系だから」

 寺尾がそう言うと妹北田もうんうんと頷く。

「ってーと何か? 明日は俺1人でみんなに教えろ、と?」

 またまた皆うんうん頷く。

 いや、頷かれてもそれは無理だろ。


 とにもかくにも始まった勉強会。

 さすがに文系だというだけあって、みんな特に質問もせずに黙々と問題集を解いている。

 まあせっかくの勉強会だし、俺も少しはやりますか。

 まずは現国からだな。

 問題は、次の状況に当てはまる四文字熟語を答えろ?

『ぐずぐずしていて決断の遅いこと。決断力に乏しいこと』

 これは『村山光一』だな。

『自然のままで飾り気がなく、偽りのないさま。ありのままの真情が言動に現われること』

 んーと、『寺尾由美』かな?

『人の言うことに耳を貸さない、心をとめないこと。また、何を言っても少しも反応がないたとえ』

 これは『岬厚子』だ! あれ? これだと三文字だ。

 あ、『あーちゃん』……これだと五文字。

「浅野君? ちゃんと解いてる?」

 あーちゃんの一睨みがいつもにも増して鋭い。

「ちゃんとやらないと! また赤点だよ!」

 くっ! それを言われると何も言い返せない。

 仕方ない、ちょっと真面目にやろう。
 
< 132 / 301 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop