ブルー・フィールド
「ふえーん。あーちゃん、もうダメ」
寺尾が女子高生とは思えないふにゃ声で叫びながら机にうっ伏す。
「もう? まだ1時間も経ってないのに」
あーちゃんはまだまだ平気、とばかりに余裕綽々。
「ちょっと早いけど休憩にしようか」
寺尾のふにゃけ具合に対する気遣いだろう、村山はそう言って立ち上がる。
「村山君、何か飲み物持ってきましょ」
と、あーちゃんと村山が部屋を出て行き
「私はお手洗い行ってくるね」
と妹北田も部屋を出て行った。
「浅野君、解ってる?」
「いや、今日勉強した事の大半は、明日には下水に流れ、浄水場でろ過されていると思う」
「よくわかんない例えだけど……そういう所は優秀なのにね」
……つまりはバカって事ですね?
それは良いとして、ここはお約束を果たさねば。
「さて、それではまずどこから捜索する?」
「創作? 何を創るの?」
「いやいや、普通この場面、エロ本とかエロDVDとかの捜索の話しだろ?」
全てエロが付くのは、一応村山も思春期男子だし。
「え? そんな……」
男にとっては普通な事だが、さすがに寺尾には恥ずかしいのか?
「私、胸とか自信ないし……」
え?
「えっちな作品を創作するんでしょ?」
「いや、そこまでボケなくていいから。ってか胸に自信あればモデルになるのか?」
たしかに寺尾は顔は綺麗というより、子供っぽくてかわいらしいし、身長も高一としてはかわいらしい。
が、その分胸もかわいらしい。
それは水泳部で選手をやっている以上、否でも目に入ってくる。
決して凝視している訳ではない! って誰に言い訳してるんだ? 俺は。
「だよね。どうせ私の裸なんか見たい人いないよね」
「何言ってんだ? 俺はバリバリ見たいぞ!」
あ、つい力強く言ってしまった。
……寺尾さん? そのしてやったりな笑みはなんですか?
「浅野君のえっち〜」
「もしかしてのせられた?」
「そっかぁ。浅野君は私をえっちな目で見てるんだあ」
ここは否定したいが、事実だけに否定しきれない。