ブルー・フィールド
歓迎会
一週間の猶予の後、新入生は各部に入部する。
結局水泳部には男子3人、女子5人(内マネージャー2人)が入部した。
そして正式入部の日、まだ肌寒いプールサイドにジャージ軍団が立ち並ぶことになる。
ちなみに先輩達は部活用の紺のジャージを着ているが、俺たち新入生は体育用のエメラルドグリーン……って趣味ワルッ!
「みんな揃ったね。それじゃ新入生から自己紹介してもらおうか」
顧問の女性教諭・藤木亜紀(37歳既婚、2人の子持ち)が司会となり、自己紹介が始まる。
新入生の誰から? と戸惑っていると、先輩達の視線が何故か俺に向けられている。
最初にやるのも最後にやるのも変わりないからいいが。
「北中からきました浅野弘樹です。専門はフリー(クロール)でした」
一瞬ネタでも披露しようかと思ったけど止めておいた。まだ新入部員だし。
「あの、村山光一。第三中学です。あの、フリーをやっていました」
村山を見る先輩達の視線が、好奇なものである事は、多分、皆気付いているんだろう。
「あの、高橋文樹、です。味白中からきました。初心者です」
こいつが男の3人目、村山よりも喋りが大人しい。
身長は170くらいあるんだが、村山同様、線が細い。
多分、体重は60kg切るか?
そんな体格だからか、中学時代は将棋部だったとか。
将棋部のある中学もステキだがそこで3年間皆勤し、尚且つ部長も勤めたというのは賞賛に値する。
が、何故にいきなり水泳をやる気になったのかはまだ聞いていない。