ブルー・フィールド
 
 俺が止めないからか、結局2人とも終着駅までなんやかんやと言い争いを続けていた。

「という訳で、そろそろ駅に着くから、言い争いは止めようか」

 車内放送が終点を知らせる中、俺は2人を止めた。

 まあ、こうして言い争いしていても、2人の仲はすこぶる良い為、一晩経てばお互いにケロッとしているだろ。

「もうあーちゃんなんか知らないんだから!」

「私だって由美なんかもう知らない!」

 ……さっきの説明、間違いないよな?


 電車から降りても、2人は子供の喧嘩の様に、一緒に歩きながら顔を合わせない、とか。

 それってお互いに引っ込みが着かないだけだよな。

「お二人さん。そんな昔の話、それも普通の恋バナをばらされたくらいで、ムキになるものじゃないだろう」

 だいたいそれを言い出したら、俺はあの大塚とのベタベタ三流ラブコメ展開を話したんだぞ。

「だって〜」

「はいはい、もういいから。そういうのはここで終わり。仲直りしなさい」

 俺はいつから保父さんになったんやら。

「は〜い……」

 寺尾はちょっと不満げながらもそう答える。

「あーちゃん、ごめんね」

「私こそごめんね、由美」

 そんなこんなで仲直りした2人を普通電車まで見送る。

「じゃあ、ここで俺は帰路に着きたいと思うが、問題は無かったな」

「言い方が問題かなと思うけど、いつものことだね」

「ああ、目指すは春日だからな」

「浅野君にピンクは似合わないよ〜じゃあまた明日ね」

 寺尾とあーちゃんを見送り、俺も改札口へと向かった。


 普通ならここで明日対決するライバルと出くわし、負けたら××!みたいな展開なんだろうが。

 残念ながら、そんな相手はいないし、そもそもスポーツで賭け事をしちゃだめだ。

 という事で、こきこき自転車で家路に着いた。
 
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