ブルー・フィールド
「じゃあ私と浅野君は寄る所あるから」
バスを降りて、この街唯一のスクランブル交差点で皆と別れる。
「ちゃんと帰りは送ってもらいなさいよ」
あーちゃんが母親みたいに心配している。
「ああ。それは任せろ。部屋まで送るから」
「だから〜私の部屋は汚いからダメだって〜」
スクランブル交差点のど真ん中で部屋が汚いのをカミングアウトする、そんな小説は携帯小説でもドン引きだ。
待ち合わせ場所となる交差点の反対側に着いて、藤岡先輩を待つ事になるが。
駅前だから立派なオフィスビルやらテナントビルがひしめき合っている中で、ジャージを着た男女2人。
中学時代は気にならなかったが、今はちょっと恥ずかしい。
これが思春期なんだろう、と分析する俺はオヤジか?
藤岡先輩も、普通なら、同じバスで到着するんだろうが。
大会には選手や家族等、人数だけで言えば1000人近くが集まる。
その全てが駅前に来るわけではないが、半数としても500人。
バスに、スーパーの特売で袋に詰めるだけ詰めて100円、ぐらいに詰めて乗っても軽く5台は要るだろう。
「なんだかよく分かんない例えだよ」
「寺尾はスーパーに買い物とか行かないのか?」
「行くけど、そんな特売とか見た事ないし」
「まあ、出来れば特売やらバーゲンと聞いて、ダッシュで出掛ける大人にはなってほしくないがな」
可愛い子には可愛いままでいて欲しい願望だけだが。
「それは浅野君次第じゃないの?」
……ん?
「俺?」
意味が分からないが、俺が何かするのか?
「あ、あの、違う! うん、そうだね。ならないならない」
なんだあ? 最近の寺尾は、時々おかしくなるな。
「まあ何が違うかよく分からんが、とりあえず頑張れ」
「というのが最近のラブコメ展開なの?」
おわ! いつの間にか藤岡先輩が後ろにいる。