ブルー・フィールド
 
 乾杯の後、最初は、先輩達が新入生の中学時代の話を聞きだす展開。

 俺の元へ北田先輩がやってくる。

「浅野は水泳部からだろ。どんなもんだった?」

 ここで聞いてくるんだから、勉強のことではないんだろう。

「市大会で3位が最高ですから。大したこと無いですよ」

 実際自分ではなんとも思っていないし。

 しかし先輩の顔つきが変わる。

「3位って……何mでだ?」

「100mっすよ。でも3年の時だけなんで」

 とそこへ朝倉先輩も近寄ってくる。

「おいおい、表彰台上がったのって、俺らん中じゃいなかったぞ」

「しかも100mだろ?こりゃ期待できるな!」

 ……期待って止めてください。ホント大したこと無いんで。

「んっと、高橋君は? 初心者っても体育の水泳とかはやってたんだろ?」

 北田先輩? 俺は呼び捨てでしたよね?

「あの、僕は……15mくらいしか……」

 大人しく、小さい声で答える高橋。

「もしかして、25mも無理なん?」

 朝倉先輩は裏声で驚くが、当然だよな。それで水泳部ってなんで?

「はい……やっぱり、ダメですか?」

 いつもぼそぼそ喋るから、普通に言っているのか気兼ねしてるのかイマイチ掴めない。

「いやまあ初心者なりに頑張ってくれれば全然いいけどな!」

 この場面ではそう答えるしかないですね。

「村山君は、どんな感じ?」

 マラソンでへばった仲間の村山だけに、高橋も気になるんだろう。

「村山はなあ、どうなんだっけ?」

 予選とはいえ、同じレースに出たんだから、そこまでタイム差は無いはず。

「経験者だからそれなり、なんだろうけど。別に気にする必要もないだろ。泳ぐのが楽しければ」

 オリンピックや世界選手権を目指すならともかく、高校生の部活でやる水泳なら、楽しむのが一番だ。
 
< 21 / 301 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop