ブルー・フィールド
 
 そんな会話をしていると、隣にいたはずの寺尾がいない。

 チラッと流し目で探すと、瀬戸先輩の所にあーちゃんと一緒に座っている。

「浅野君もおいでよ」

と、寺尾に呼ばれたので移動する。

「浅野君も1組なんだって?」

 瀬戸先輩が聞いてきたので、軽く頷く。

「今年は豊作ね。選抜クラスが4人もいるなんて」

 横に居る三村先輩がそう続けてきた。

「っていうか、選抜クラスってなんですか?」

 木田から聞いたが、本当かどうかは知らない。

「そのままだよ。入試の成績で上位を1組にして、後は抽選」

 抽選って、くじじゃないんだから。

「でも俺そんなに成績良くないっすよ」

 自慢げに言ってみるが虚しい。

「私もそう、かな」

 お、寺尾もそうなんだ。ということは……。

「ちょっと、浅野君。私はこれでも勉強できるんだからね」

 あーちゃんには俺の思考が分かるのか?

「村山君は成績優秀だから、選抜されて当然だもんね」

 そう言って村山の頭を撫でる瀬戸先輩。

「で、瀬戸先輩。村山って、何でペットなんです?」

 どうせついでだ、と聞いてみた……ら、村山君、そんなに睨まないで。

「ほら、可愛いでしょ? だからペットなの」

とけらけら笑っている。

 ホントにそれだけなんだろうか?

「けどそれだと一年生のキャプテンは浅野君で決まりだね」

 三村先輩の言う意味が分からない。

「だって入賞経験者で選抜クラスだもんね」

 もちろんそんな役をやりたいわけは無いので、無言で反対の意思表示。

「言葉も出ないほど嬉しいんだ! じゃ決まり!」

 なんでそーなる!

「浅野君、がんばってね」

 あーちゃんもワルノリしてるし。

「浅野がキャプテンか、よろしくな」

 北田先輩?いつの間にか決定項で、しかも呼び捨てっすか。

「女子の事は私が手伝うから。頑張ろうね」

 お? さすが寺尾。まともな対応してくれるのは寺尾だけ……というか、ここでも決定項だよ。

「まあしょうがないっすね」

 仕方ないか。村山や高橋には無理だもんな。
 
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