ブルー・フィールド
 
 今日も朝食は朝マックだから、歯磨きを終えて家を出る。

 途中いつものコンビニに寄り、暇つぶしの雑誌と菓子を購入。

 店内には他にも水泳部であろうジャージ姿の中学生か? いるが、知らない奴らだな。

 ……ん? なんか雰囲気怪しくないか?

 ポケットサイズのお菓子の棚の前で、4人組が固まってレジに背中を向けている。

 チラッとレジを見ると、店長は4人組をガン見してる。

 万引きする奴らは、自分達だけは見られてない、と都合良く解釈するものなんだろう。

 その場に居合わせた身の不幸を呪いながら、ジャージ軍団に近付いた。

 しかしそんな俺の姿を見て、ジャージ軍団はやめるどころか、俺に対して、邪魔だよ、どっかいけ、的に睨んでくる。

 ん? このジャージは見た事あるぞ。たしか、南中のジャージだよな。

 南中の学生、しかも水泳部だというなら仕方ない。

 買いたくもないカットされたチョコレートを手に取り、小さく呟く。

「お前ら、バレバレ」

 それを聞いた瞬間、4人全員がレジに顔を向けた。

 店長の視線に気付いたんだろう、すっかり身体が固まっている。

 やれやれ、仕方ないなと、俺はそのまま商品を手に持ち、レジへ向かう。

「これもお願いします」

 レジの店長は、きっとカットしたんだろう、ポケットチョコをスキャンしながら

「後輩か?」

と尋ねてきた。

 このコンビニは、毎日来ているコンビニで、顔見知りとまではいかないが、まあ顔は知ってもらっている。

「はい」

 実際には知らない奴らだが、南中には仲良くしている水泳部員もいるし、そもそも水泳部員の不祥事は起こさせたくない。

「後できつく言っときますんで、勘弁してやってもらえませんか?」
 
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